平成２１年（2009）に、岩波書店から出版された東京やなぎ句会編『五・七・五 句宴四十年』（二刷・定価２１０0円）である。帯には「祝 東京やなぎ句会四十周年！ 俳句のこころは戯れにあり。ある俳人の評『あれは句会じゃありません』歳時記片手にワイワイガヤガヤ。マジメに俳句と戯れる、宴の如き句会への招待」と綴られている。【本書について】 私は俳句に関しては、浅学なのでよくわからないが、不思議に魅了する力がある。かの新選組の鬼の副長と恐れられた土方歳三は、京で下手な俳句を総司にからかわれたりした。しかし、土方は俳句心を引っさげて、その後、鳥羽伏見から最期の五稜郭まで転戦し続けた。ウクライテ戦争での兵士たちが、もしたった五・七・五の句の中で、平常心や豊かさ、希望を取り戻せたら素晴らしいことだと思う。私は根っからの落語ファンなので、本書に登場する噺家の芸は論じられても、俳句の中の一言一句にこめられた＾四季や花鳥風月、さりげない日常、宇宙大の感動を論じることはできない。 しかし、俳句少年から鍛え抜いた宗匠の扇橋は、句会のメンバーで一番下手なのは「小三治」と断言しながら『目に見えないものを詠むのはうまい』」と補足している。そうそう、私もかつて、小三治師から頂戴した短歌「あたたかさ急ぐ女のふくろはぎ」という妙に色っぽい句に感動しあれこれ想像した。談志は「エロティシズムはチンポコで感じるじゃねえ、脳で想像して感じるんだ・・・」と、言ったが、おいらは小三治の俳句から、脳がエロティシズムを感じられない！畢竟、入場料を取り劇場何度もを満席した「東京やなぎ句会」はスゴイ！本書に登場する句会のほとんどの人が、今や天に召されている・・・。【 目 次 】●第一章「俳句の愉しみ・東京やなぎ句会四十年の愉しみ入船亭扇橋・東京やなぎ句会をひと言でいうと永六輔・四十年前に大西信行・俳句と私小沢昭一・短いような長いような桂 米朝・四十周年に思う加藤武・俳句を選ぶのは難しい柳家小三治・嘘ばっかり矢野誠一※特別寄稿・東京やなぎ句会に招かれて稲畑汀子・たおやかにしたたかに大牧広・愉快金子兜太・絶景「東京やなぎ句会」黒田杏子・記憶力テスト鷹羽狩行・メイド・イン・やなぎ句会中原道夫・東京やなぎ句会「四十周年に寄せて」黛まどか・扇橋師匠と秋櫻子●第二章「自選三十句」・入船亭扇橋（光石）・永 六輔（並木橋）・大西信行（獏十）・小沢昭一（変哲）・桂 米朝（八十八）・加藤武（阿吽）・柳家小三治（土茶）・矢野誠一（徳三郎）●第三章「逝きし句友に寄せて」・友を偲ぶ入船亭扇橋・忘れられぬ友の思い出永 六輔・神吉さん三田さん江國さん、そして永井さん大西信行・水らへて近きし句友を忍ぶ草小沢昭一・近かける友に寄せて加藤武・近きし友のこと 柳家小三治・私の好きな句矢野誠一●第四章「四十周年記念句会」・四十周年記念句会・手記・書記から見た東京やなぎ句会山下かおる●第五章「東京やなぎ句会」・四十年の歩み（1969～2009）・三十周年「やなぎ句会」ちょいといい思い出話【東京やなぎ句会】●宗匠・入船亭扇橋（俳号は光石）●桂 米朝（八十八）●柳家小三治（土茶）●小沢昭一（変哲）●江國 滋（滋酔郎）●永 六輔（並木橋）●大西信行（獏十）●永井啓夫（余沙）●矢野誠一（徳三郎）●三田純市（頓道）※この計１０人で、昭和４５年（1970）の大阪万博の前年に結成した。その後、下記の二人が加わり長らく１２人で句会は開かれた。●神吉拓郎（尊鬼）●加藤武（阿吽）が加わり、【本の状態と発送について】本書は発売時に買い逃したので、東京・神田駿河台下の古書会館の展示即売会で購入したものだ。二刷だがコレクター向けの「美品」である。送料は当方が負担サービスいたします。