長岡鉄男氏の『世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーをつくる』に載っていたマトリックス・スピーカーを、ヤマハのセンタースピーカーＮＳ‐ＶＳ１０Ｃのエンクロージャーを２個流用して、無指向性も取り入れて作ってみました。正面の９ｃｍフルレンジはメーカー不詳。コーン紙が紙製、センターキャップは樹脂製、エッジはゴム製ですが劣化の兆候はありません。マグネット部は径６７ｍｍ厚さ２６ｍｍの防磁型、インピーダンス４Ω、最大入力は２０Ｗです。左右の８ｃｍウーファーはケンウッドのＬＳ―ＥＳＡ５から取り外したモノ。コーン紙が紙製、センターキャップも紙製、エッジは布製で劣化の心配はありません。マグネット部は径５０ｍｍ厚さ２４ｍｍの防磁型、インピーダンス４Ω。最大入力は２０Ｗです。天辺の２５ｍｍハードドーム・ツィーターがヤマハ製。ダイヤフラムは金属製、マグネット部は径８５ｍｍ高さ３５ｍｍの超弩級巨大防磁型、インピーダンス６Ω、最大入力は不明です。左右の５ｃｍコーン・ツィーターはパナソニック製。コーン紙は樹脂製、センターキャップも樹脂製、マグネットは径３５ｍｍ厚さ８ｍｍのフェライト・マグネット、インピーダンス６Ω、最大入力は不明です。３個のツィーターは独立させてマトリックス接続し、間に３．３μFを挟んでます。背面の８ｃｍフルレンジもメーカー不詳。コーン紙が紙製、センターキャップも紙製、エッジは布製で劣化の心配はありません。マグネット部は径５０ｍｍ厚さ２４ｍｍの防磁型、インピーダンス４Ω。最大入力は２０Ｗです。スタンド替わりのダクトを通じて繋がっている下部のシステムはソニーのスーパーウーファーＳＳ‐ＷＭＳＰ３１をそのまま使いました。１６ｃｍウーファーは、コーン紙は紙製、センターキャップは段ボール状の紙製、エッジはゴム製ですが劣化の兆候はありません。マグネットは径８０ｍｍ厚さ２０ｍｍと径８０ｍｍ厚さ１０ｍｍの巨大ダブル・フェライト・マグネット、インピーダンスは４Ω、最大入力は７０Ｗです。上部中央部の２個のフルレンジはシリーズ接続し、それと下部のウーファーとパラレル接続してあります。センターウーファー出力が可能な方は、単独で使えるよう接続は外付けターミナルにしました。試聴では、ペダルトーンで埋め尽くされているJ.S.バッハのペダル練習曲BWV５９８（手持のテストＣＤ；トン・コープマン：１７３４年製ミュラー・オルガン；アムステルダム；最低音３６Hz）を、見事なバランスで鳴らしました。この曲は勿論足鍵盤の練習用でもありますが、当時最高のオルガン・コンサルタントでもあったバッハが、すべてのパイプがちゃんと鳴っているかどうかのチェックをするための曲でもあり、スピーカーにとっては、低域に変なピークやディップがないかどうかのテストとしても使える便利な曲です。もちろん変なピークやディップはありません。本格的試聴では、J.S.バッハの前奏曲とフーガハ短調BWV５４６（手持の最強テストＣＤ；トン・コープマン：ミュラー製作オルガン１７３４；最低音３２Hz）の最初のＣのロングトーンを、かなりの大音量でもしっかり鳴らしましたが、メガ・スワン・クラスには流石に及びません。本領発揮はやはりオーケストラ！無指向性の音場の広がりは見事で、眼を閉じれば左右にスピーカーが有る様に錯覚します。フルトヴェングラーやクレメンス・クラウス等、’５０年代のモノラル録音では、特に威力を発揮します。長岡氏の注意書きに、サンスイの１０万円クラスの中級アンプや、超高級アンプなどにある『バランス式』と呼ばれるアンプには使えないようです。アンプに被害が及ぶと言われています。外観は、ＳＳ‐ＷＭＳＰ３１に合わせてライトオークニス仕上げ、 重さ８．３ｋｇ、サイズは９２×２９×２６ｃｍです。